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リヨンと荷風3

6月30日(日) 23日目(4)

今回は、ローヌ川とソーヌ川との間、市街中心部を訪ねます。北から南へ、テロ―広場⇒レピュブリック通り⇒ベルクール広場 周辺に主な舞台が集まっています。この順序で探してゆきましょう。

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ローヌ川とソーヌ川との間の、「ふらんす物語」関連地図。(「荷風のリヨン」より)

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上図の説明。(「荷風のリヨン」より)

1907年7月、荷風は、鉄道でパリからリヨンに到着します。夜の三時半でした。少しコースから外れますが、まず、荷風が、最初に投宿したホテルから探します。

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グラン・トテル・デ・テロ―。ランテルヌ通り16番地。荷風がリヨンの第一夜を過ごしたホテル。
「馬車で寝静まった街(まち)を過ぎ、河岸(かわぎし)のとあるホテルの一室に入ったが、自分は寝る前に、しばし、このあけやすいヨーロッパの暁(あかつき)の空を見ようと、バルコンの窓を明けると、遠く、小鳥の囀(さえず)る声・・・」

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「都の夜明けに鳥の歌う声を聞くとは、ニューヨークから来たものの耳には、実に何たる不思議であろう。」
(「ふらんす物語・船と車」より)

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赴任した時は、銀行の駐在員らしく、四つ星(現在)のホテルです。

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テロ―広場の噴水。
「・・・市中の処々(しょしょ)に設けてある広い四辻・・・噴水や銅像や、樹木のある広い四辻に佇めば、家路を急ぐ人の影のみ、際立(きわだ)って黒く、木の間に動き、空は一刻一刻に暗くなりながら、まだ消え去らぬ悲しい黄昏の光に、星は見えず、しかし地上の燈火(ともしび)は、早や初夜らしい光を放って、樹(き)の影をば黄(きば)みかけた芝生(しばふ)の上に投げかけている。・・・」

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海に向かう大河を象徴しているそうです。

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もうひとつの噴水とカフェ。

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テロ―広場のメゾン・ド・ラ・プレス(新聞雑誌ほかの売店)。ここで、下の写真のガイドブックを買いました。(これは7月30日の写真)

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フランスのキャンピング・キャラバニング公式ガイド 2013年版。フランスの殆どすべてのキャンプ場が載っているので、一冊持っていると便利です。今回53日の宿泊のうち、到着のチューリッヒ空港、ここリヨン、そして、最後のパリ空港以外、すべてキャンプ場でした。

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リヨン市庁舎。

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黒い屋根が、オペラ座。その向こうの屋根は、市庁舎。
荷風の下宿を出て、モラン橋を渡れば、このオペラ座があります。
「われは君を愛す。ローザが腕よ。ローザが胸よ。ローザが腿よ。ローザが肩よ。おお、ローザ。トリアニ。リヨンのオペラ座、第一の舞姫。ローザ・トリアニ。」
(「ふらんす物語・橡(とち)の落ち葉・舞姫」より)

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横浜正金銀行リヨン支店。植木の後ろ、紫色っぽいバルコンのある建物。
「1907年夏、横浜正金銀行雇人として、米国を去って仏蘭西(フランス)に赴き、ここに留まる事僅かに十一カ月半なり。」(「ふらんす物語・序」より)

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銀行正面入り口。
「本書収るところの小編は、当時の印象を失わざらんがため、銀行帳簿の陰、公園路傍の樹下、笑声弦歌のカッフェー、また帰航の船中に記録したるを、帰国の後修正したるもの多しとす。前著米国小話集の名題にならいて、ふらんす物語と称す。」(同上)

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この界隈は、銀行がかたまっています。この建物は、現在、リヨン市役所の一部になっていました。

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銀行の所在地は、アルブル・セック通り19番地です。

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テロ―広場を出て、レピュブリック通りを下ってゆくと、リヨン株式取引所がありました。
その入口前の彫刻。
「リヨン市を過ぎた人は、街の中央に立つ株式取引所の入り口なる、左右から昇る大階段の正面に、裸体の男女の身をからませて泳ぎ行く大理石の彫刻を見たであろう。」

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「あの、筋骨逞(たくま)しく、恐ろしい顔した男は、ローンの急流を示し、・・・」

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「後向きに髪もしどろ、溺(おぼ)るる如きさまを見せた女の姿は、ソーンの流の心を示したものである。ソーン河は女性である。」

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「その流れは巴里なるセーヌの如くに穏やかで、岸辺の景色もそれに劣らず美しい、愛らしい。」
(「ふらんす物語・蛇つかい」より)

実際の川の姿も、荷風の言う通り、ローヌは男性的であり、ソーヌは女性的です。文法上も、ローヌは男性名詞で、ル・ローヌ、ソーヌは女性名詞で、ラ・ソーヌと言います。上掲の彫刻全体を写した写真の下に、そのようにタイトルがついています。
ちなみに、セーヌ川は女性で、よく御存じの、ラ・セーヌです。

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株式取引所入口の一部。

つづく
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