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12スタンダールの「チェンチ一族」

20.05.2019
"Les Cenci" of Standhal

この記事は、2017年に、「グイード・レニ」のタイトルで、一度紹介したものです。これは、その改訂版です。

来年(2020)、「フランシージェナの道」の終点が、ローマです。そこで、スタンダールの「チェンチ一族」の題材となった、ベアトリーチェ・チェンチとルクレチア・ペトロ―ニ・チェンチの絵を見たいと思っています。
現在、問題となっている、肉親の性的の話です。16世紀、ローマで起こりました。ベアトリーチェは父親の虐待に耐えかねて、父親を殺してしまいます。ルクレチア・ペトロ―ニは、その義母です。ベアトリーチェは、処刑時、16歳でした。

「チェンチ一族」の中で、スタンダールは、次のように書いています。
「バルベリーニ画廊の・・・肖像画は、グイード・レニの筆である。・・・巨匠グイードは、ベアトリーチェの首につまらぬ布をちょっとばかりからませ、頭にターバンをからませているが、これは、ベアトリーチェが断頭台に臨むためにつくらせた衣装や、絶望の淵に沈んでいる16歳のかわいそうな少女の乱れ髪を、正確に模写したら、あまりに真にせまってすごい印象を与えることに、なりはしまいかとあそれたからだろう。顔は優しくて、美しい。まなざしは、きわめて優しく、目はひどく大きい。さめざめと泣いているところを不意に見られたもののような驚きの目をしている。」

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A portrait of Beatrice Cenci attributed to Guido Reni.
グイド・レーニ作「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」(写真はwikipediaより)

また、彼女の義母、ルクレチア・ペトロ―ニについては、次のように書かれています。

「バルベリーニ画廊の・・・肖像画は、ルクレチア・ペトロ―ニ。すなわち、ベアトリーチェの義母の肖像である。自然の美と貴位とをもつローマ貴婦人の典型だ。目鼻立ちは大柄で、肌は抜けるように白く、黒くて濃い眉毛を持ち、まなざしは威圧的で同時に情欲的である。これは、義理の娘の、きわめて優しい、きわめて純真な、ドイツ型といってよいくらいの顔立ちとはよい対比だ。」

しかし、ベアトリーチェの絵の存在は確認されましたが、ルクレチア・ペトロ―ニのほうは、wikipediaでいろいろ調べましたが、分かりません。ルクレチアのほうを見たい気がしますが、残念です。ベアトリーチェの絵の隣に飾られているのではないかと、期待していますが、果たして如何に?
なお、スタンダールが、バルベリーニ画廊と言っているのは、現在のバルベリーニ国立古典絵画館のことです。「地球の歩き方」の「ローマ」には、バルベリーニ絵画館にある、このベアトリーチェの絵も紹介されているので、ここにあることは間違いありません。

スタンダールを読むのが好きだと、何度も書いてきましたが、「チェンチ一族」との出会いをここに記しておきます。

スタンダールに、「チェンチ一族」のあるのは、以前から知っていました。しかし、読んだことがありませんでした。2015年に、エゴチスムさんという方のブログに、スタンダール関連の記事を見つけました。その中に、このベアトリーチェの紹介もありました。それを見てから、是非とも、スタンダールの「チェンチ一族」を読みたくなりました。本を探しましたが、わが町立図書館にはありません。県立図書館に行って、スタンダール全集を探しました。そして、その中に「チェンチ一族」を見つけて、読みました。その後、amazon で、「新潮世界文学のスタンダール」を古本で見つけました。その中に、「チェンチ一族」が入っていたので、確か、900円ほどと安い値段で、購入しました。

エゴチスムさんは、当時、イタリア在住で、スタンダールのことが詳しく、ブログでいろいろ教わりました。ルクレチア・ペトロ―ニの絵のことも、エゴチスムさんに聞けば分かるのかもしれません。しかし、残念ながら、現在、そのブログに連絡がつかなくなっています。

フランシージェナの寄り道 つづく
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11.マサッチョの「楽園追放」

18.05.2019
The Expulsion of Masaccio

歴史の本を読むのが好きです。古い本ですが(1960年刊行開始)、中央公論から出た「世界の歴史」全16巻は、今も変わらぬ愛読書です。
その中の第7巻「近代への序曲」の文庫本の表紙が、マサッチョの「楽園追放」です。次の通りの説明が載っています。

「イタリア・ルネサンス初頭に近代絵画の基礎を築いた巨匠マサッチョが、フィレンツェのカルミネ聖堂・ブランカッチ礼拝堂の壁画として描いた傑作で、アダムとイブの絶望の表現は比類のないものといわれる。」
フィレンツェには、何度か行ったことがありますが、この絵を見たことはありません。最近、この本を読んで、この絵を見てみたいものだと思っていました。また、この絵のことを知ってから、各地の教会のアダムとイブにも注意するようになりました。

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マサッチョの「楽園追放」(部分画)

これからは、鬼が笑う来年の話になります。
今年(2019年)、グラン・サン・ベルナール峠からアウッラまで、約500キロを歩くとすれば、来年(2020年)は、アウッラからローマまでの約500キロを歩くことになります。アウッラから、フランシージェナの道を、100キロほど南に歩けば、San Miniato Basso という町に出ます。フランチージェナの道から外れて、その町の東に約30キロほどの所に、フィレンツェがあります。うまい具合にバスの便でもあれば、日帰りできる距離です。事情が許せば、一日フィレンツェに遊んで、「楽園追放」を見てきたいと思っています。
図書館へ行って、「地球の歩き方」で調べると、その絵は、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会付属のブランカッチ礼拝堂にあるそうです。
wikipediaで更に調べると、上図の二人の恥部の葉っぱが、最近の修復の際に、外されています。オリジナルには、なかったのでしょう。楽しみです。

フランシ―ジェナの寄り道 つづく

10.パルムの僧院

15.05.2018
La Chartreuse de Parme

今年は、フランシージェナの道、グラン・サン・ベルナール峠からローマまで、1000㎞のうち、その半分、グラン・サン・ベルナール峠から500kmのあたりまで歩きます。
帰りの飛行機は、ミラノからです。その500㎞あたりのどこから、ミラノに出たらよいのか、手持ちの(1997年とちょっと古い)トマス・クックの時刻表で電車の便を調べました。
すると、グラン・サン・ベルナール峠から494kmのアウッラAulla という町の駅から、パルマに出て(アウッラから100km)、そこで、ミラノ行き(パルマから129㎞)に乗り換えというのが、どちらも便がたくさんあって良さそうです。これで予定しておきます。

パルマで乗り換えと分かって、すぐにスタンダールの「パルムの僧院」を思い出しました。
以前に何度か紹介したと思いますが、私にとって、スタンダールは一番好きな作家です。「赤と黒」「パルムの僧院」「カストロの尼」「チェンチ一族」は今でも読み返している小説です。パルマは、その「パルムの僧院」のパルムです。イタリアのパルマはフランス語でパルムです。
「パルムの僧院」の最後に、その名前が一言出てくるだけの僧院です。しかし、、昔から、訪ねてみたいと思っていたところです。

また、パルマの図書館には、「パルムの僧院」のサンセベリナ伯爵夫人のモデルとして、スタンダールが頭に描いたコレッジオの聖母の絵もあるそうです。これも。できたら、一緒に見たいと思います。

河出書房世界文学全集「パルムの僧院」の訳者生島遼一氏の解説には、次の通り書かれています。
「主人公ファブリスが最後に引退する僧院は、実在するもので、小説に書かれているようにサッカの森の中ではなく、パルムの北東にあり、今は不良児の収容所のようなものになっている。(同じページの僧院の写真の説明には、女子軽犯罪者の更生施設本部になっていると書かれています。)
また、この町の図書館にはコレッジオの傑作の聖母の絵がって、スタンダールはサンセベリナを描くのにこの聖母像を頭に描いていたらしいとも考えられる。」

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スタンダール当時のパルムの僧院。新潮世界文学より。

さらに、wikipediaで、「パルムの僧院」を調べると、次のことが分かりました。
「・・・「パルムの僧院」はパルマ郊外の未舗装道路の端にあって、現在はイタリアの刑務所・警察学校の敷地内にある。シャルトリューズ会修道院(Chartreuse)は、小説に描かれる僧院(Chartreuse)は、自分たちと何の関係もないとしながらも、身分証明書(パスポート)を提示すれば、季節により時間は異なるが、訪問・見学できるようになっている。なお、当の建物たる僧院は、物語を通じ、たった一度のそれも最終ページに登場するのみで、さして重要な意味を持ってない・・・」

その「パルムの僧院」のほとんど最後の部分はこうです。
「・・・サッカから二里離れた、ポー河に近い森の中のパルムの僧院(訳注:この僧院は実際はサッカの森にはなく、北東1マイルのカスタルラ街道沿いにある)へ引退した。
…伯爵夫人はあらゆる幸福の外観を集めていた。しかし一生愛していたファブリスが僧院で一年を過ごして死んだ後、ほんのわずかしか生きていなかった。」(新潮文庫・大岡昇平氏訳)

もし、 フランシージェナの道をアウッラまで、494㎞を歩いた後、パルマに一泊する余裕があったら、是非立ち寄って、外観だけでも見たいと考えています。パルマの観光案内所で、「パルムの僧院」と「図書館の聖母の絵」の場所を聞けばなんとかなるでしょう。

フランシージェナの寄り道 つづく

9.フランチージェナの寄り道

14.05.2019
Detour from Via Francigena

フランチージェナの道を歩くにあたって、この道とは直接関係ありませんが、寄り道して是非訪れて見ておきたい建物や絵が、いくつかあります。ずっと以前から(ほとんどは数十年以上も前の子供の時から)、尋ねたいと思っていたところです。うっかり忘れないうちに書き留めておきます。
次のところです。

1.パルム
スタンダールの「パルムの僧院」と、パルムの図書館にあるという、コレッジオの聖母の絵。

2. フィレンツェ
カルミネ聖堂・ブランカッチ礼拝堂にある、マサッチョの壁画「楽園追放」。

3.ローマ
バルベリーニ画廊にある、スタンダール作「チェンチ一族」のベアトリーチェ・チェンチの絵。
および、存在が確認できませんが、同じく、ルクレチア・ペトローニ・チェンチの絵。

4. ローマ
ファルネーゼ邸にあるという、スタンダール作「カストロの尼」のエーレネ・ディ・カンピレアーリの絵。

以下、個別に説明してゆきます。

8.ヴィア・フランチージェナのガイドブック

Guide books for Via Francigena

ヴィア・フランチージェナを歩くためのガイドブックとして、Amazon で購入できるもので主なものを入手しました。

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左から:
・Rother Wanderfuehrer社 の"Via Francigena"
 (ローザンヌからローマまで。2013年版。2019年版が7月に発売予定。¥2387。)
・Outdoor社の"Via Francigena"
 (ローザンヌからローマまで。2018年版。¥1877。)
・Cicerone社Alison Rajuの"Via Francigena、Part 2"
 (グラン・サン・ベルナール峠からローマまで。2014年版。¥2127.)
価格は、すべて、Amazonで、2019年5月5日現在のもの。

私は、巡礼路を歩く際、ガイドブックに期待することは、次の通りです。
1.まず、宿泊先の情報です。どの町や村に宿があるか、町や村の、どの位置に宿があるか。何人泊まることができるか。値段はいくらか。食事は出るかなどの情報です。これによって、予約しないでいけるかどうか等を判断します。
2.次にVia Francigenaの道順を示した地図です。これは、実際に歩くと、道案内の表示が出てくるので、なくともよいと言えますが、当日の道の概略をある程度知っておくと安心です。
3.最後に、当日の行程で、どのような見どころがあるのかが分かれば、歩いていても面白いです。

こういう点から、揃えたガイドブックを比べてみました。上述の私にとっての重要度からして、
・宿情報を5点満点、
・地図情報を3点満点、
・見どころ情報を、2点満点
として、比較してみました。なお、ガイドブックの言語についても、2点満点とし、英語を2点、ドイツ語・フランス語を1点として評価の対象としました。

その結果は次の通りです。
13点満点中、
Rotherのもの が、11点、
Outdoorのものが、8点、
Ciceroneが6点
です。ガイドブック1冊でも、重さが気になります。Rotherのもの1冊を持ってゆくことにしました。大きな町の宿情報については、Outdoorが宿の位置まで示しているので、その部分を切り取って持ってゆきます。

ガイドブック/宿/地図/見所/言葉/総合点/注記
Rother Wanderfuehrer/4./4/2/1(ドイツ語)/11
Outdoor/4/2/1/1 (ドイツ語)/8/地図・文字が小さ過ぎて、よく見えない 
Cicerone by Alison Raju/1/1/2/2 (英語)/6/歴史や見どころにについて、読み物としては面白い本ですが、実際に歩くためのガイドとしては頼りになりません。

参考: (以下のシリーズに、ヴィア・フランチージェナのガイドブックはありません)
Miam Miam Dodo/4/4/1/1 (フランス語)/10
John Brierley/ 5/3/2/2(英語)/12
尚、サンティアゴの道で、何回もお世話になった、ミャム・ミャム・ドドやJohn Brierleyのガイドを同じように評価すれば、上の表の通りとなります。総合点で見ると、ミャム・ミャム・ドドが10点。John Brierley が満点に近い、12点です。私にとっては、やはり、John Brietleyのガイドブックが一番使いやすかったと思います。満点とならなかったのは、地図がラフなために、迷った時の現在地確認や正規ルート以外の近道を取りたい場合などができないことです。

2公式ガイド
Via Francigena公式ガイドブック。英語版。2018年版。¥3688(Amazonで、2019年5月5日現在)

尚、Via Francigenaの公式ガイドブックもあります。Amazonで、今年5月2日までの発送だというので、3月初めに発注しました。しかし、まだ発送されず、早くて、5月30日以降の発送だという連絡がありました。私の出発まで間に合わない可能性があります。場合によっては、キャンセルして、現地で現物を見て購入しようかとも考えています。出発点のグラン・サン・ベルナール峠をでて間もない、アオスタやサン・ヴァンサンの観光案内所で入手できるそうです。
入手できましたら、これも後日比較表に加えるつもりです。